フリースクール「あおもりサニーヒル」

青森でもようやく、フリースクールが誕生した。

一昨年(平成28年度)、県からの委託を受けて調査研究事業に一緒に取り組んでもらったNPO法人コミュサーあおもりが運営する。

フリースクールの形態は様々だが、「フリースクール」の存在意義を考えることは、「私学」の存在意義を考えることにも繋がるのではないかと常々思う。

スポーツや進学、科学技術やグローバリズム、宗教など、時代の変遷や特化したニーズに対応して、ある種の実験校的な役割を柔軟かつ迅速に担っていくことが「私学」の存在意義であるとするならば、「不登校」という社会的課題にいち早く取り組んできた「フリースクール」の存在意義もやはり通ずるものがあるように思う。

不登校児童生徒の数や割合はこの20年、ほぼ横ばい状態が続いており、平成16年度から調査が開始された高校の不登校についても同様のことがいえるが、高校の中退者数に関してはこの10年あまりで、ほぼ半数に減っている。

それと時期を同じくして増加したのが通信制高校であり、そのほとんどが私学の通信制高校なのだが、従来の通信制高校のイメージとは異なり、毎日通える(通っても良い)タイプの通信制高校が著しく増えた。

中学校時代に不登校を経験した生徒や、全日制高校に馴染めず、通信制高校への転編入を選択した生徒の中でも、無理なく、自分に合ったペースで通うことができるのであれば、毎日でも通いたいというニーズは決して少なくない。

そして、フリースクールの中には、そうした毎日通えるタイプの通信制高校と似たようなカリキュラムを組んでいるところが数多く存在する。

高校における私学の割合は約1/4であるのに対し、中学校における私学の割合は約7%、小学校にいたっては約1%に過ぎない。

義務教育なのだから、公立学校の占める割合が多くて当然と思われるかもしれないが、公立であれ、私立であれ、義務教育段階であれば無償で教育を受けられる国は存在する。

そもそも日本では、公教育=国や地方公共団体が提供する教育=国公立学校というイメージが根強くあるように思われるが、公教育の担い手は何も国や地方公共団体ばかりではない。フリースクールを運営している民間団体も公教育の一部を担っているのであり、ともに子どもたちを支え・育んでいるという点においては、方法論に違いはあれども、学校もフリースクールも同じ方向を向いているはずなのである。

国立教育政策研究所にも勤めていた永田佳之氏の著書、『オルタナティブ教育−国際比較に見る21世紀の学校づくり』の中で、「一割の妙」という言葉が強調されている。

公立学校を中心とする公教育の中に、一割のスキマとアソビがあることによって、公教育全般が活性化され、より健全な方向へ向かっていくという主張に大いに賛同する。

ということで、フリースクール「あおもりサニーヒル」の開設を心から嬉しく思うとともに、今後の動向に注目していきたい。