函館の講演会 【きん】

函館・登校拒否と教育を考える親の会「アカシヤ会」と「チャイルドラインはこだて」が主催する講演会に参加してきた。

フェリーの到着の遅れと道の不慣れ(自転車で移動)と、ちょっと足したい用事のこともあって、開会後1時間も経過してからの大遅刻だったが、定員約100名の会場をほぼ埋め尽くす盛況ぶりを見てまずはビックリ。

講師は北海道教育大学札幌校准教授の平野直己さん。「今の子どもたち 自己肯定感と心の傷」というテーマで話をされていた。

臨床心理学・精神分析学が専門だが、札幌校ではなく岩見沢校に勤務されていた2000年当時、大学のすぐ傍の一軒家を借りてフリースペース「IPCユリーカ」を開設したなかなかユニークな方である。

ユリーカは不登校の子どもたちにとってだけではなく、関わっている学生や大人たちにとっての居場所と学びの場でもあったように思うが、決してユリーカの中だけで活動を行うのではなく、子どもたちの学びや成長に必要そうだなと思われる場所や人のところへ、タイミングを見計らいながらさりげなく繋いでいくというやり方は、広いネットワークがなければなかなか出来るものではないだろう。

平野さんの講演のレジュメの中に、自己肯定感とは、自己の弱さや脆さも含め、自分の有り様や存在を受容した上で肯定する気持ちであり、人との間で積み重ねられ、練り上げられていくものとあった。

そして、ある人に対する私たち周囲の者たちが向ける感情や思い、すなわち「まなざし」が自己肯定感を高め、子どもの心を育てていくのではないかというお話が、具体的な事例などとともに非常に分かりやすく語られていた。

良い「まなざし」を向けるための一つのアイデアとして提案されていたのが、親子という縦の関係ではない「ナナメの関係作り」。訪問支援が担うことのできる役割もこの部分にあるだろうと考えている。

もう知り合ってかれこれ10年近く経つが、会場に入るなり、「おう、きんちゃん。遅いよ!」の一言で会場内の視線のこちらに向けようとする相変わらずのユーモアさ。一度是非、青森にも来てもらうとしよう。